ひとりごと 〜 12/06

昨日(6/26)、博多座の千穐楽を無事迎えました。その日の内に東京に戻りましたが、明日(6/28)の夜大阪に参ります。大阪は8年振りとなります。
8年前宿泊中にホテルの経営が変わり、寝ている間にホテルの名前も変わり、朝食の箸のカバーも変わって、芝居後ホテルに戻るとタオルも浴衣も新しいものになっているという珍しい経験をいたしました。今回序幕に出ておりますので、松竹座に通うのに便利と云うことで今回もそのホテルにいたしましたが、前回と同じ部屋を取っていただけるかは行ってみないと分かりません。毎年泊まっていると様子が判るのですが、部屋の内装までリニューアルしたとのことで、期待と不安、何しろ、1ヶ月の滞在でを気分良く過ごせればと願っております。


松竹座は又五郎・歌昇襲名興行、大劇場での最後の披露となります。ご当人達は勿論のこと、ご家族、一門、スタッフの皆さまもこの1年大変だったと思いますが、大阪での披露興行も成功裡に終わることを祈っております。
私も序幕で久しぶりに「引き窓」の南与兵衛を我當兄さんの濡髪長五郎で、昼の最後は3月に染五郎君の「荒川の佐吉」で勤めた成川郷右衛門を松嶋屋(仁左衛門丈)の佐吉で勤めます。夜の部は播磨屋(吉右衛門丈)の銀平実は知盛で「義経千本桜」の渡海屋と大物浦の義経に出演いたします。私の好きなお役ばかり、また3役とも気分の違うお役ですので1ヶ月の舞台が楽しみです。みっちゃん(又五郎丈)の口上でお祝いを言わせていただくのも嬉しいかぎりです。


5月中村座は客席の近い芝居小屋、大劇場と違った雰囲気でのこれも楽しい1ヶ月でした。
「め組の喧嘩」の喜三郎をと話がきたときは1月に同じ東京の演舞場で勤めたばかりでしたので少し考えてしまいました。しかし、勘三郎さんが中村座で「め組の喧嘩」を演りたいと、できれば私に喜三郎で付き合ってほしいと言っていると会社より話があり、確かにあの芝居小屋に「め組」は合うなと思いました。どうせ出るなら哲明さん(勘三郎丈)と絡みたいと考え、以前国立劇場で紀尾井町(二代目松緑丈)のおじさんと橘屋(十七世羽左衛門丈)のおじさんが喜三郎宅をなさったのを思い出し、この幕を付けてはと提案してみました。哲明さんはすぐに資料を調べ、六代目音羽屋さんの辰三郎、先々代友右衛門さんの喜三郎の録音テープまで見付け出してきました。話が分かりやすいとお客さまからの評判も良かったようで、提案したのは良かったと自画自賛しております。
三社祭のときにはお神輿も出て下町らしい盛り上がりもみせた舞台となりました。私も始めてお神輿を担がさせてもらいました。担いだというより、触っただけとも言われましたが………。これも中村座ではの楽し経験でした。

夜の部の「髪結新三」の忠七は初役の時、梅幸おじさんの素晴らしい忠七を見よう見まねで演じましたが、そのときは手も足もでませんでしたが、いつかはまた演じたいと思っていたお役でしたので、今回話をいただいた時は嬉しく思いました。梅幸おじさんのようにはいきませんでしたが、少しは成長できたのではと思っております。これからも演じていきたいお役でございます。 

試演会では弟子たちが勉強の機会をいただきました。立候補してくじ引きでお役を決めるのですが、魁春のところの春希が八重垣姫を引当てました。梅之は「毛抜」の秦秀太郎を当てることができました。毎日、舞台の後に稽古をして本番を迎えましたが、春希はかわいらしく、梅之も難しい役でしたが、2人共それぞれ良くできたと思いますし、本当に良い勉強をさせていただきました。
たぬき会では私も出演しましたが、本当に何年ぶりかに真剣に長唄の稽古をいたしました。そのたぬき会では梅之が三味線を、梅丸が5月は出演していなかったのですが、鼓に出していただきました。佐太郎先生、傳左衛門さんに特訓していただけ有難いことです。正直普段の舞台より緊張いたしましたが、私もなんとか無事唄え、ほっといたしました。


4月から5月にかけて菊之助君が「絵本太閤記」の十次郎を、愛之助君が「阿古屋」の重忠を習いに来られました。2役ともに本人達それぞれのおじいさんに教えていただいたお役ですので、教えていただいたことをしっかりと伝えました。私のとき、どちらのおじさんにも先ず行儀良く勤めるようにと言われましたが、2人共それは大丈夫だったと思います。先輩から教えていただいたこと、先輩の芸を次世代に伝える、私のこれからの大事な仕事と思っております。


さて6月の博多座ですが、私は初役が2役。最近になって新しい役処に挑戦することが増えていますが、若いときと違って色々な角度から役をみることができ、先輩がなさった形も外観だけではなく内面的に部分も少しは分かるようになってきたのではと…。

「三人吉三」の和尚吉三を勤めましたが、先だっての東京新聞「言いたい放談」にも書いたように、3役演じるのは珍しいことなのではと思います。これからもお嬢、お坊ともにまだまだ若々しく演じてまいります。
「馬盥」は今までご縁の無かった芝居で、拝見はいたしておりますが出演するのは初めてでした。なんであんなに光秀を理不尽にいじめるのか?いやな奴と思われるお役ですが、高座から悪態をつくお役ですので、品格と位取りは大切に勤めました。今までどちらかと云えば耐える役が多かったので、こういうお役は演じていて発散できます。
しかし今月は松嶋屋からお声をかけていただき、梅丸が桔梗の大役を勉強させていただきましたので、心配がついてまわりました。大変難しいお役ですしまだ声変わりが終わらずにおりますので、無理があるのではとお断りしようかとも考えましたが、声をかけていただいたことが幸せ、精一杯の芝居ができればと思い受けさせていただきました。案の定、声はかすれひやひやものでしたし至らないところだらけではありましたが、神妙に行儀良く、言われたことをできなくともやろうと努力はしておりました。また松嶋屋や魁春が丁寧に優しくも注意してくれ終わりの方では少しはマシになってきたかなと思いました。学校を休み初めの1週間だけお母さんが滞在しましたが、その後は一人。不安もあったようですが、梅蔵始め兄弟子は勿論、皆さんに良くしていただき、楽しい1人暮らしだったようです。なかなか役のつかない年頃に良い役をいただき、勉強させてもらえたことは本当に有難いですが、謙虚さを忘れずに精進してほしく思っております。
5月中村座のとき立回りで手首を骨折した梅秋も、博多座には出演でき安堵いたしました。やはり若いのでしょうか、重いものは持てませんが他のことはだいたいできるようになり、私の後見も無事勤めることができました。舞台の立回りで骨折を経験した先輩も多勢おりますが、その経験で注意がましより技に磨きがかかる方がおられます。今後はがむしゃらに無理せずにと願っております。


大阪の7月は暑いと聞きますが、体調に気を付けて舞台を勤めてまいります。
暑い大阪での、熱気のある襲名興行を御見物にお出かけください。
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