ひとりごと 〜 11/09

2月に続いて名古屋御園座に出演いたしております。

夜の部は「助六」の白酒売りですので、昼の部が終わると楽屋を出て昼食してから一度ホテルに戻ります。「助六」は一幕で2時間近くあり出番は終わりのほうなので、幕が開いてから楽屋入りしても間に合うのですが、一応開く前には楽屋に戻るようにしております。

今月は昼の部は「寿曽我対面」で十郎、夜は「助六縁江戸桜」の白酒売り実は曽我十郎と昼夜で曽我の十郎を勤めております。両方とも梅幸おじさんのなさったのが素晴らしく、それをお手本にいたしております。
「寿曽我対面」は実際におじさんに教えていただいた大事な財産です。
その梅幸おじさんの十七回忌の追善パーティーが松緑おじさんの二十三回忌とあわせて先月の千穐楽翌日に東京會舘でございました。おじさん方が亡くなられてもうそんなに経ったのかと感慨深い思いがいたしました。懐かしいお2人のビデオを拝見し素晴らしい時を過させていただきましたが、自分がまだまだおじさん達の域に到達していないことを痛感させられました。そして、お2人のことを懐かしく想い出しました。
松緑おじさんにはお具合が悪い中、六段目の勘平を教えていただきその国立劇場での公演が終わって、甲府での公演中訃報を聞きました。本当に丁寧にお教えくださり、国立の初日に無事幕を開けたことをご報告に伺ったときもいろいろご注意くださったことが忘れられません。
梅幸おじさんは正月公演でお具合が悪くなられ、その翌年3月、私が北海道に巡業で行っているときに旅立たれました。お2人にお教えいただいたことをこれからもしっかりと学び、自分のものとし、後輩達に伝えていかなくてはと思った追善の会でございました。


今月は先月に続き、又五郎・歌昇襲名披露です。先月は若い新歌昇さん達との「勢獅子」でしたが、負けずに勢いのある踊りを...と頑張りました。初日に観にいらした祇園町の小富美姉さんが一番若々しかったと、お世辞でも嬉しいことを言ってくださり、その気になった1ヶ月でした。今月は新又五郎さんの五郎での十郎と襲名のお2人と共演できお祝いできるのは喜ばしいことでございます。


ここまで書いて、あとは何をと考えておりましたら、神谷町の兄さん(芝翫丈)が亡くなったと連絡が参りました。今月に入りお具合が悪いとは聞いておりましたが、まさかこんなに早く旅立たれるなどとは思ってもおりませんでした。
連絡がきたのが、午前1時過ぎ、その日10日の舞台を済ませて東京に戻りその足で神谷町に伺い、兄さんにお別れをいたしましたが、翌日名古屋に戻るまで何か夢の中にいたように思えました。
神谷町の兄さんは亡父歌右衛門の兄五世福助の息子ですので、私とは従兄弟になります。兄さんは私の父と11歳違いで、叔父甥の仲ですが普段は父のことを叔父さんではなくお兄ちゃんと呼んでおられました。私は兄さんとは18歳違いですので従兄弟と云っても大先輩といった感じでした。舞台では恋人、夫婦と相手役をさせていただき本当にいろいろと教えていただき、また私生活でも何かとお世話になっておりました。父亡き後、成駒屋一門の要として、私達を引っ張ってくださっておりました。
兄さんが亡くなった実感がまだしないのですが、これからは栄ちゃん(福助丈)達と力を合わせて成駒屋一門を守ってまいりますので安らかにお休みください。ご冥福をお祈りさせていただきます。


来月は国立劇場で亡父歌右衛門が復活した「日本振袖始」を上演いたします。
神谷町の兄さんも国立で一度亡父の役岩永姫実は八岐の大蛇をなさっておられますが、今回は魁春がいたします。私は素戔鳴尊を勤めますが、この大蛇退治の場の前に新に一幕復活いたしますので、私の出番も増えることになりますがご見物も物語が分かりやすくなると思います。
今回稲田姫を梅丸にと国立よりお話いただき、難しく重要なお役ですのでしばらく考えてしまいました。お話をいただけることがありがたいことですので、今の梅丸の身の丈でさせていただくことといたしました。藤間宗家に踊りを、台詞は清元志佐雄太夫さんと竹本葵太夫さんに特訓していただいております。
上手にと思わずに素直に演じ、神話の世界のお姫様になってくれればと思っております。梅丸は本当に恵まれた子だと思います。驕ることなく、感謝と謙虚な気持ちを忘れずに精進してほしいと願っています。


11月の国立劇場ご見物の程お願い申し上げます。
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