ひとりごと 〜 10/10

9月の芝居も無事千穐楽を迎えました。
歌舞伎座建替えになってから初めて演舞場に出演となりました。過去に何回か演舞 場には出演いたしておりますが、今までと何か違う感じがしたのは、新しい歌舞伎 座が建つまでの歌舞伎の本拠地となる劇場だからだと思います。出演者が多く、皆 さん狭い楽屋に2人で入ることになりましたが、それもまた良しといった雰囲気の 1ヶ月でした。

昼は魁春相手に雅な業平を、夜は嵐ちゃん(松緑丈)相手に猩々と舞踊二題でござい ました。
夜の部「猩々」は前回の時は染五郎君とでしたが、今回は松緑君。若い方と一緒の 舞台は若いエネルギーをいただきながら負けずに動き、楽しく踊りました。
弟と恋人同士の役などは、何となく照れくさく抵抗があった時期もございました が、今は気持ちが通じる分、楽に演じられるように感じております。

来月の「頼朝の死」ではなんと弟が私の母親役となります。今まで亡父と何度も演 じてまいりましたが、その舞台に常に魁春も一緒に出ておりましたからお互いに父 に教えられたものが身についておりますので、魁春が母政子を演じることに不安は ありません。せいぜい私が若返って勤めなくてはと思っております。
このお役は私の好きなお役の一つで、また深い思い出のあるお役といえるかもしれ ません。父が亡くなった平成13年3月31日は、翌月に演じるこの「頼朝の死」の稽古 中。頼家の台詞に「父上のことが思われる」とあるので、初日からの舞台では私自 身は勿論お客さまもそこに、頼朝と重ね合わせて亡父六世歌右衛門を見ていたよう に思いました。今回その役を、魁春相手に演じるのを父も泉下で心配しながらも喜 んでいるのではと思います。

夜の部では「どんつく」ですが、七代目から九代目までの三代にわたる三津五郎さ んの追善とのこと、七代目の大おじさん、八代目のおじさん、九代目の兄さんそれ ぞれにお世話になっておりますので感謝の気持ちで出演させていただきます。
芸術の秋、爽やかな季節に演舞場に芝居見物もよろしいかと存じま す。


さて、来月は一門の梅蔵、梅丸は国立劇場に出演させていただきます。梅丸は播磨 屋さんよりお声をかけていただき「天保遊侠録」の勝麒太郎のお役を頂戴いたしま した。
今までで一番台詞が多く、初めは、梅蔵演じる下男とのやり取り、その後は播磨屋 さん演じる勝小吉に意見を言うような重要なお役ですので、本人はもとより私も心 配ではございましたが、ありがたいことと出演いたさせることといたしました。台 詞回し等はすべて播磨屋さん、演出の織田さんにお任せいたすこととし、お役の性 根だけはよく申しましたが、驕らずに謙虚な気持ちでお役に全力で取り組んでほし いと思っております。

演舞場をご覧になりましたら、どうか国立の方もご見物くださいませ。
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