ひとりごと 〜 09/11

11月に入ったとたん、忠臣蔵の雪景色に合わせたように初日は寒くなりましたが、その後20度を越える日もあり、寒暖の差が厳しく風邪もひきやすくなっております。新型インフルエンザも流行っておりますが、お陰さまで芝居うちではまだかかった方はおりません。
「仮名手本忠臣蔵」のときは、稽古に入る前に出演者が揃って泉岳寺にお参りに行くのが慣例になっておりますが、今回は新型インフルエンザの心配があるとのことで中止となりました。劇場側も気を使って、頻繁に消毒するようにと各楽屋に手の消毒液を配っております。俳優協会からも会報で注意を呼びかけており、他人事ではなく、ご観劇のお客さまのためにも舞台に穴をあけないよう注意しなくてはと思っております。


今月の「仮名手本忠臣蔵」では3役勤めており、「大序」板付きで始まり、十一段目「引き上げ」の板付きで終わっております。あいだも五段目に出演しておりますので、久しぶりに歌舞伎座に10時間以上おり、付き人や弟子達も大変です。

さて、若狭之助は国立劇場で九段目に繋がる通しのときに勤めて以来です。正義感が強く真直ぐな若者になればと思っております。
定九郎は2回目となりますが、冷たい悪の華が咲かせるよう勤めております。
服部逸郎は最後に馬に乗って出てきて幕を閉めるのですから本当に気持ちの良いお役です。それまでの芝居の雰囲気が壊れること無く、義士が本懐をとげたことをお客さまと共に喜びつつ幕を閉めたく思います。
いまの歌舞伎座での最後の「仮名手本忠臣蔵」、大切に勤めたいと思っております。


先月の国立劇場「京乱噂鉤爪」、ご覧いただけましたでしょうか?新作のときはどちらかというと悪役の方が役作りが広がり、陰陽師鏑木玄斎を楽しく勤めさせていただきました。
口の悪い人に「変態の極悪人の役なら地でいけるのでは!」などと言われましたが、気分というか役の感じは、国崩しでしょうか?(国崩しの役「金閣寺」大膳等)
演出の高麗屋(幸四郎)さんの意向もあくまでも従来の歌舞伎を意識したものなので、私も時代物を演じるつもりで、あまり普段しない役柄の悪人を気持ち良く勤めました。

梅丸が花がたみという人形のお役を頂戴し、台詞はございませんが、「京人形」のような振りもあり、最後は高麗屋演じる明智小五郎を助け、私演じる陰陽師をやっつけるという、話のキーワードになるような重要なお役でございました。本人も綺麗なお役が嬉かったようですが、丁稚役の錦成ちゃんと一緒に劇場の特別賞をいただくというご褒美もございました。これを励みに2人とも精進してほしいと思っております。

11月は梅丸も本来の中学生生活に戻りますが、12月は京都の顔見世に出演が決まりました。子役は背が高くなっていくので、お話があったときにさせていただかないと、次の機会にはできなくなるので、芝居を優先いたしました。但し、京都滞在中も家庭教師を付けて勉強時間はしっかりとスケジュールに入れられたようで、私は何もそこまでしなくてもと内心思っておりますが、まあいまの時代ですので学業もしっかりやって、人間を磨いていってほしいです。


いまの歌舞伎座もあと半年となりました。思い出がいっぱいの歌舞伎座、更に良い思い出ができるよう毎日の舞台をより大切にと思うこの頃でございます。皆さまにも思い出を作っていただきたく、歌舞伎座へ観劇にお出かけくださいませ。


今回で「ひとりごと」80回目となります。我ながらよく続いたと感心いたしております。これからもマイペースでやっていきますのでよろしくお願いいたします。

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