ひとりごと 〜 09/06

6月の歌舞伎座も無事初日があきました。
初舞台の金太郎ちゃんは元気に初日を迎えました。私も金太郎ちゃんの初舞台夜の部一番目に「門出祝寿連獅子」に大名のお役で出演いたし口上も言わせていただいておりますが、高麗屋がすっかりおじいちゃんしているので、微笑ましく思っております。
また一世一代で松嶋屋が勤めている昼の部の「女殺油地獄」には、私の娘役で松嶋屋のお孫さん千之助ちゃんが出演しており、こちらも楽屋ではやはりおじいちゃんしています。孫は特別といいますが、本当に可愛いようで、普段の2人からは想像もできない、甘いおじいちゃんです。小さい子に周りはハラハラして心配のようですが、本人たちの方がしっかりとして、落ち着いて舞台を勤めており、末頼もしく思います。
また今月から、昨年お正月に梅丸と「鏡獅子」の胡蝶を一緒に踊った松本錦政ちゃんが錦成と改めて高麗屋の部屋子となります。本人の意思が固く、高麗屋もそれを認めての部屋子披露でございます。彦三郎さんのところにも、九州から高校生の子が入門しました。小学生のときから歌舞伎がしたくて、東京の高校に入れたらといわれていて、今年無事高校入学を果たし、弟子入りしたとのことです。
最近は鶴松君を筆頭に、一般の家のお子さんたちが歌舞伎を真剣にやりたいと入門するのが続いたように思います。どちらの家でも1〜2年様子を見て、本人及びご家族の気持を確かめてお預かりするようにいたしております。小学生から芝居が好きという子がふえるのは嬉しいことですが、大人になるまでその気持を維持できるかが問題となります。梅丸も年齢的にお役がなくなるときですし、中学に入り勉強も大変になり、また他に楽しいことが見えてきて興味が出てくる年頃です。この時期に沢山稽古し、吸収することができれば役者の道も開けるのではと思います。乗り越えるのは本人の気持ちですので、私は見守ることしかできませんが、皆、その時期を乗り越えて歌舞伎にとって大切な役者に育ってほしく願っております。


話が飛びましたが、「女殺油地獄」での私の役は、上方の商人の役で、身体から出る上方の香り、これも如何ともしがたいことでございますが、一番の苦労は上方言葉で、秀太郎兄さんに一語一語教えてもらい勤めさせております。
昼の部は先ず「蝶の道行」を福助君と踊っております。亡き武智鉄二先生の監修で復活上演されたこの踊りの装置などは斬新で、また川口秀子先生の振りは2人の恋物語や地獄の責め苦などが、華やかに振付られており最後まで息つく間もない、体力的にも大変な踊りでございます。前に踊った時から10年は経っており、年齢を考えるとしんどいかなとは思いましたが、全力を出して若くして死んで行く恋人たちを装置の花のインパクトに負けずに踊りたく思っております。

夜の部二番目は「幡随長兵衛」の唐犬。町奴で長兵衛の弟分、死に行く兄貴に代わりたいと申し入れ、受け入れられずに送り、早桶を持って迎えに行くことを約束するお役で、先月の加賀鳶とは違った味が出せればと思っております。またこれには玉太郎が長兵衛夫妻(芝翫兄さんと播磨屋)の倅役を勤めさせていただいております。昨年、團十郎さんの長兵衛でもさせていただいており、2度目なので指導役の東志也さんが「台詞大丈夫だね?」と聞いたところ、「僕、したことないよ。」との返事だったそうですが、こちらも堂々と勤めております。

私は今月「蝶の道行」から唐犬まで4役続けて出演いたしており、その度に化粧も変えますので、健康に気をつけて、千穐楽まで恙無く勤めたく思っております。 梅雨時ではございますが、お芝居で爽やかな気分を味わっていただければと思っております。


5月の芝居は昼の部のみで「盲長屋梅加賀鳶」の松蔵。菊五郎さん初役の道玄の相手役でしたが、この数年菊五郎さん始め劇団の方たちとご一緒に世話物をさせていただいているので、スーっと入って勤めることができました。
颯爽とした加賀鳶の頭で、道玄をやりこめるお役は若いころにおじさんたちのを拝見していても気持良く感じておりましたが、演じてもやはり気分の良いお役でございました。この芝居の序幕で加賀鳶の若い者が花道で並んで、順番に台詞を言うツラネというのがございます。私も2,3度勤めておりますがこれは結構緊張するものです。本舞台上で台詞を交わすのと違い、会話ではなく自己紹介のようなものですが、自分の番がくるまで間違えるのではないかなどと頭をよぎり、ドキドキとしてしまいます。今回は左團次さんが最後でしたが、どちらかというと早い順番の方が良いです。松蔵は皆と一緒の並んではいても、このツラネがないので、なおさら始めから気分良く舞台に出ることができるという訳です。いつもいうように自分だけが気持ち良くてはいけないのですが、ご覧いただいた方にも、そう思っていただけたなら幸いでございます。

楽の翌日は富十郎兄さんの傘寿の祝の矢車会に出演し、弟魁春と山勢先生のお琴で「寿競べ」を素で踊らせていただきました。会もご盛況で、大ちゃん(鷹之資丈)もしっかりと勤められ、兄さんもお疲れなったとは存じますが、お喜びだったと思います。おめでとうございました。


7月、8月と芝居はお休みいたします。
8月は例年通り、「子供歌舞伎体験教室」「稚魚の会歌舞伎会合同公演」の指導となりますが、またその話は夏の便りとさせていただきます。

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