ひとりごと 〜 06/11

神無月となり、今年も残すところ2ヶ月となりました。このホームページも来月でまる4年になり、マイペースの更新ではございますが、続いていることは皆さまのお陰と感謝いたしております。

10月は舞台の終わるのが早かったので、2回程、終演後に講演がございました。国立劇場40周年記念の一環で、狂言,文楽と3回続きの講義の1回目、歌舞伎のお話で、国立劇場の北濱さんとの対談形式でございました。父の話や、修行時代のことを主に質問され、初舞台からのことなどまじえてお話しさせていただきました。100人近い方々がお集まりくださりましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
あと1度は「花の会」という古典芸能を観賞,勉強する同好会の方々で、お能,落語等からも講師を呼んでお話を伺っておられるとのことで、皆さま大変熱心で、芝居も良くご存知のように感じられました。今回は国立ご見物の後ということで、「元禄忠臣蔵」を中心に、やはり父のこと、修行時代のお話等させていただきました。「今回の浅野内匠頭と塩谷判官の役を演じる時の思いの違いがあるのですか?」と云うご質問をいただきました。それに対して「新歌舞伎と時代物の違い、それに伴う演じ方,台詞回し等の違いが、まずございます。そして『仮名手本忠臣蔵』では師直に虐められる場面、切腹の場がございますが『元禄忠臣蔵』にはその場面がございませんので、インパクトが無く感じられます。そこで無念さを少しリアルに出すようにいたしております。判官を初めて勤めましたとき、梅幸おじさんにご指導いただきました。その折、『一番大切なことは、大名としての品位、虐められる場でも、切腹の場でも品位を崩してはならないこと』を何度もご注意いただきました。『元禄忠臣蔵』での浅野内匠頭は、勿論品位も大切ですが、無念さ,そして家来に対しての男同士の絆,信頼をリアルな気持ちで演じるよういたしております。」と、大体、こんなお答えをさせていただきました。
10月「元禄忠臣蔵」─ 大変な人気で切符売り切れとなり、番頭さん達がうれしい悲鳴を上げておりました。いつもの劇場より男の方のご見物が多く感じられました。3人しか女形さんが出ていないお芝居のせいもあるのでしょうか?11月は女形さんが多く出る芝居でございますが、引き続き男性陣にもご見物いただき、大入りが続くこと、願っております。

あと、10月は岡崎ゆみさんのピアノリサイタルに参りました。クラシック音楽は門外漢でございすが、ゆみさんは結婚されてからの方が、音がまろやかになったように感じられました。演奏を聴いていて、お幸せな生活を感じることができました。ご主人が演奏後に舞台のゆみさんに花束を贈っておられましたが、私にはぜったいにできないことです。ご主人も偉い人だと感心してしまいました。(2年前、岡崎ゆみさんと梅玉はピアノ劇「マクベス夫人」で共演しております)

千穐楽の翌日は左團次さんの結婚式に伺いました。大勢出席で左團次さんらしい和やかなお式でした……が、最後はもっと左團次さんらしい余興があり、全員大爆笑。彼流の心使いを感じました。細やかな、気使いのある左團次さん、素敵なご家庭を作られることと存じます。末永いお幸せをお祈り申し上げます。

「元禄忠臣蔵」第二部、大石内蔵助は坂田藤十郎兄さんがなさいます。序幕の伏見撞木町は「仮名手本忠臣蔵」で云うと七段目にあたりますでしょうか、あとの幕は「仮名手本忠臣蔵」にはい幕となります。
私の出演いたします「御浜御殿」の場は、内蔵助中心の本筋からは外れた場面と云えます。初演の頃には、この場面が入っての通し上演はされておりません。伏見撞木町での内蔵助の台詞と、御浜御殿での綱豊卿の台詞がかぶる個所があり、山城屋の兄さんも、私も稽古の時に悩んでしまいました。演出の織田さんから「綱豊卿もお家再興か仇討ちかを大石が悩んでいることを分かっていて、共に考えあぐねているのではないか」、また「『伏見撞木町』と『御浜御殿』は、時間的には同時進行と考えて良いのでは」とのことでした。私も通し狂言の中の「御浜御殿」ということを頭には入れて、一幕だけ浮いてしまわないように、前後の幕のことを気持ちの上で感じながら演じる所存ではございますが、土台は以前に「御浜御殿」を勤めた時のことを踏まえて演じさせていただくことといたしました。私が使います扇は、初めて綱豊卿を演じました時に、亡き美保先生に頂戴した扇でございます。お形見となってしまいましたが、今回も使わせていただき、美保先生にお教えいただいたことをもう一度よく考えて大切に勤めさせていただきます。
改めて通し狂言の難しさを感じた稽古でございましたが、第一部から関わらせていただき、芝居の流れを身体で感じることができましたことは勉強になりました。


紅葉狩りに出かけたい季節ではございますが、国立劇場の正面からの景色も結構良いものです。10月ご覧いただけなかった方も、11月だけでも十分お楽しみいただけますので、ご観劇にお出かけくださいませ。
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