ひとりごと 〜 05/10

今日で9月も終わりです。初秋というより夏といった感じの9月でしたが皆さまは如何お過ごしでしたでしょうか? 歌舞伎座にお出掛けいただけましたでしょうか?

尾張万博守 ─ 歌舞伎座千穐楽は万博も終わっておりちょっと困りましたが、無事務めさせていただきました。本家万博も歌舞伎座万博も評判・入場者ともに良く、ありがたいことでございます。こういうお芝居は理屈ぬきで楽しむ芝居でございます。昔は冷房設備もございませんでしたので、暑い間は肩のこらない、怪談話や笑える芝居をしたようでございます。
歌江さんの物真似、亡くなった名優たちのものでございますので、今のご見物には分かりづらかったかもしれませんが、20年位前のお芝居をご存知の方には懐かしかったのではと思います。あんな衣装でも歌舞伎で演じてしまうのですから、すごいと思いました。あのクラスの方達は、出るだけで歌舞伎になるのですから、学ぶことが多々ございます。さて私でございますが、殿様の品位をもって締めることが出来ていましたでしょうか?
「忠臣連理の鉢植」─ 歌六さんが「江戸が舞台の上方芝居」と筋書きでおっしゃっておられましたが、考えてみれば不思議なお芝居でございました。この芝居も「東海道中膝栗毛」とは違った意味で理屈を考えずに演じるお芝居でございました。女性にもてて、非情な一面もあり、それでいて嫌な男にならずに、なよなよしていて町人のようい居て、武士の心を失わずといった役どころでしたでしょうか。久しぶりの上演でしたが、また掛かる芝居になってくれればと思っております。
この月、初めて歌舞伎をご御覧になられた方もおられたようでございますが、如何でしたか? もともと歌舞伎は江戸時代の庶民が育てた芝居でございます。敷居が高い芝居ではございません。難しく考えずにこれからも楽しんで下さい。

さて、10月国立劇場の芝居「貞操花鳥羽恋塚(みさおのはなとばのこいづか)」も久方ぶりの芝居でございます。幕によっては江戸時代以来となりますでしょうか。袈裟御前、源三位頼政、崇徳院の話をご存知の方には物語りも分るかと存じますが、そうでない方は、芝居をお楽しみいただきたく存じます。ストリーよりも南北らしいドロドロとした味わい、国立ならではの大掛かりな仕掛けが醍醐味となりますので理屈ぬき歌舞伎を楽しんでいただきたく思っております。
役作り……、一つの芝居の中での二役でございますので、違いがでるように務め、また二役とも品位を崩さず古風な芝居を心掛けるつもりでおります。渡辺亘は以前に屋島歌舞伎で、南北ではございませんでしたが、務めたことがございます。袈裟御前が澤村藤十郎さん、盛遠は段四郎さんでした。舞台は屋根がありましたが客席は野外の舞台で、途中から大雨になりましたのにお客さまは一人も立たず、ビニールをかぶってご見物くださった思い出がございます。今回心新たに「亘」を務める所存でございますが、9月・10月と主君のために恋人を死なす役なのですね。現在では考えられないことではございますが、それが不道理に思われないのが歌舞伎なのです。

稽古に入って5日目の明日(10/2)は舞台稽古でございます。今回、新しく作り上げた幕もございますので大変でしたが、どのような成果を上げることが出来るか楽しみにしております。
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